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天皇・皇后のパラオ訪問(朝比奈誼さん)

天皇・皇后のパラオ訪問

このニュースは日本国内でも大きく報道されたが、そのくせ肝心な中身を僕たちは軽視してしまったのではないか。というのも、フランスの奥様向け娯楽週刊誌「パリ・マッチ」が天皇・皇后のパラオ訪問、慰霊碑参拝をお得意の写真入りで(美智子皇后の服装を文字でもくわしく描いている)紹介したばかりでなく、その見出しを「彼らのパラオへの出発は御忍びではなかった」とし、ことさら「身分を秘した」旅行ではないことを強調したからだ。そして、王子たちばかりでなく、安倍首相ら政府関係者を前にして述べられた「わたしどもは戦闘で亡くなられた数多くの方々に哀悼の意をささげに参ります。あれほど美しい太平洋の島々がかくも悲惨な歴史に耐えてきたことをわたしどもはけっして忘れてはなりません」(AFP通信による仏文の和訳)というスピーチを披露することも忘れてはいないからである。

ここでわれわれ日本人があらためて思い起こすべきは、天皇が(安倍内閣ではなくて)平和憲法の精神を忠実に守りつつ、戦時中に日本がもたらした惨害(昭和天皇の名において戦われた戦争であったにしても)を戦後の70年間も、さらに今後も「忘れるべきではない」と発言していることの重大さである。天皇発言の正しさをわれわれは声を高くして訴えると同時に、目の前でその発言を聞いた首相の「積極的平和主義」「集団的自衛権の行使」の欺瞞性をあらためて告発すべきだと思う。天皇を政治問題の道具にすることを憚るあまり、日本のマスコミは大事な発言(一昔前なら「勅語」に相当する)を軽く聞き流してしまったのではないか。

仏文学研究者・立教大学名誉教授 朝比奈誼

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